研究

1) シックスクール調査

平成16年より佐賀市教育委員会との共同調査として、市内の小中学校の教室内気中のシックスクール関連物質の測定を行っている。対象物質は、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類とトルエン等その他のVOC類である。アルデヒド類は、DNPHカートリッジで、VOC類は活性炭カートリッジによる24時間パッシヴ法により採取し、それぞれHPLC、GC-MSにより分離定量している。毎夏各学校2教室を測定対象としている。サンプリングと分析には、理工学部宮島教授、農学部上野講師、文化教育学部岡島教授、甲斐教授、総合分析実験センター寺東准教授らの協力を得、佐賀環境フォーラムや医学部選択コースの課題としても行っており、学生、市民の参加により行われている取組である。

結果として、ホルムアルデヒドは、文部科学省の指針値を超える部屋が、例年2割から3割でてくる。測定時の気温との関連が見られる。また、音楽室で高い傾向がある。建材等の接着剤由来のホルムアルデヒドと考えているが、発生源にいついての詳細な分析はできていない。平成21年には、小学6年生を対象として自覚症状調査を行い、結果を解析中である。

 

これらの結果は、教育委員会に還元され、換気設備の増設等の対策に反映されている。これまでの経過は、日本衛生学雑誌に報告している。今年度は、7月27日より8月25日まで実施予定である。

 

参考:「佐賀環境フォーラムにおけるシックスクール問題への取り組み」 日衛誌64:26-31(2009)


2) 化学物質曝露の生物学的モニタリング

 

鉛,有機溶剤,多環芳香族炭化水素,タバコ煙等の物質の職業性/環境性曝露者における生体試料中の物質あるいは代謝物を,原子吸光光度計,液体クロマトグラフ,ガスクロマトグラフ質量分析計等を駆使して測定してきた。

多環芳香族炭化水素類のモニタリングでは,中国,韓国との共同調査を行い,製鉄所作業者,焼却炉作業者の白血球DNA付加体や尿中代謝物を分析した。

タバコ煙のモニタリングでは、モニタリング手法の基礎的検討や、職域での受動喫煙・家庭での幼児の受動喫煙の評価などを行った。

 

3) アルデヒド脱水素酵素に関する研究

 

アルデヒド脱水素酵素(ALDH)は様々な体内外化学物質を代謝する酵素であり、生体内で様々な役割を果たしている。主にアセトアルデヒドの代謝能が高いALDH2について生化学/分子生物学的/疫学的手法を用いて研究を行っている。

 

参考

アルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)の構造・機能の基礎とALDH2遺伝子多型の重要性(総説) 松本明子 日本衛生学会雑誌 71, 55-68 (2016)

Aldehyde dehydrogenases in cellular responses to oxidative/electrophilic stress. Singh S, Brocker C, Koppaka V, Chen Y, Jackson BC, Matsumoto A, Thompson DC, Vasiliou V. Free Radic Biol Med. 2013 Mar;56:89-101.Review.