当研究室について

環境医学分野研究室では

 私たちは環境とヒトの健康との相互作用を解析し,良好な健康状態を保持するためにはどの様な環境を構築したらよいかを明らかにするための研究を行っています。


 ヒトの健康に影響する環境因子には騒音・振動・温熱・化学物質などの物理/化学的環境因子があります。化学物質のなかには,環境ホルモン,農薬,重金属,有機溶剤,発がん性の芳香属炭化水素など社会的関心の高いものが多くあり,アルコール,タバコ煙中の有害物質,シックハウス症候群の原因物質なども例外ではありません。見方を変えると、人間関係を含めた職業環境、生活環境因子などに分類することもできます。


 当研究室における主要テーマはこれら化学物質と職業環境です。生活環境や労働環境に存在する多くの化学物質が体内に取り込まれ,どのように代謝され,いかなる健康影響を生じるのか,さらに,個人の感受性(遺伝子多型など)がどのように影響するのか,また,健康影響をどのように予防すればよいのか,生化学的,分析化学的,分子生物学的,疫学的手法を駆使して研究を行っています。

研究室の歴史

社会医学講座環境医学分野

 この部門は地域保健科学講座として昭和57年4月にスタートした。初代の教官は,教授・友国勝麿,助教授・長谷川亨,助手・平井幸雄,古賀直美の4名であった。平成15年に社会医学講座環境医学分野に改編した。長谷川は平成13年に佐賀女子短期大学に移り,友国は平成19年3月に定年退職した。現在の教員は,教授・市場正良(本学昭61卒),准教授・松本明子(平23年コロラド大より着任),助教・宮﨑博喜(平成23年内科学講座より着任)である。准教授・大石浩隆(本学平2年卒)は、平成22年から志田病院に移り、地域の予防医学活動に従事している。この間大学院博士課程を修了したのは大石 浩隆,弥冨 美奈子(本学平2卒,株SUMCO産業医),王 艶平(在カナダ),張 久松(在中国北京),榎 真佐史(本学平3卒,現嬉野温泉病院)、修士課程は、高橋 達也、松本 茜子、大田 裕介、久保田 玲奈、友清 仁美、松尾 裕康、山本 忍、唐 喜順がいる。

友国勝麿 前教授 退任記念祝賀会「ホテルニューオータニ佐賀」にて(平成19年年3月17日)

 

1)研究

 研究室発足以降,環境医学/産業医学/生活習慣病分野のテーマを中心に,主に機器分析に基づくアプローチで検討を行ってきた。最近では,佐賀市教育委員会との共同調査で市内小中学校のシックスクール調査として教室内気中揮発性有機化合物の測定を行っている。また,環境遺伝子多型の交互作用に関する研究、生活習慣病予防に関する疫学研究なども行っている。

 

2)教育

 医学科4年次のユニット9「社会医学I」では,環境医学,産業医学関連の講義実習を担当している。また6年次の選択コースでは,産業医の活動,環境化学物質の生体影響に関する課題を行ってきた。看護学科では「産業保健師の活動」「地域保健」を担当してきた。また,佐賀大学の公開講座である「佐賀環境フォーラム」のスタッフとして,本庄の学生や一般市民への教育活動にも貢献している。

 

3)地域貢献,学内活動

 社会医学は教育研究だけでなく,地域における実践活動も重要と考える。友国は佐賀県環境審議会長,環境影響評価審査会長など,地域の環境保全に貢献してきた。市場は佐賀労働局や佐賀産業保健推進センターにおいて,県内産業保健活動に貢献している。

 また学内においては,衛生管理者として労働安全衛生対策,エコアクション21による環境対策や禁煙推進に関わる活動を行っている。市場は,全学の環境安全衛生管理室長として、環境管理、安全衛生管理に取り組んでいる。